サンシルラポピー (Sain-Cirq-Lapopie) フランスの美しい村 南西フランス
フランスの最も美しい村に登録されているサンシルラポピー(Sain-Cirq-Lapopie)は、フランスの南西部、
ミディピレネー地方、ロット川の渓谷沿いの標高210mの崖断の上にある、人口217名 面積18㎢の、
「フランス人が選ぶフランスの好きな村」という投票で、1位になった事のある中世の名残を残す美しい村です。
サンシルラポピーの名前の由来
サンシルラポピーという名前は2人のこの村の重要人物から取った名前です。
サンシルは、「サン・シル(聖シル St-Cirq)」、キリスト教世界で最も年若くして殉教した3歳の聖人
「キュリアクス Cyriacus/フランス語ではシル Cirq」の事で、村の守護聖人となっています。
また、ラポピーは、当時の領主ラポピー家から来ています。
サンシルラポピーの歴史
10世紀、オルドリック家 Oldoric が戦略上有利な崖の上に「最初の小砦」を築いたのが始まりです。
11世紀後半になると当地を統括したトゥールーズ伯の命により、
三人の封建領主にサン・シル・ラポピーはゆだねられました。
その3人の領主とはカルダイヤック家 Cardaillac、ラポピー家 Lapopie、グールドン家 Gourdonです。
12世紀にはロマネスク様式の初期の聖シル教会堂が建てられ、サン・シル・ラポピーの「村」が形成されました。
複数の領主により建造と改修が繰り返されたシャトー城砦は、イギリスとフランスとの「百年戦争」で
完全に破壊されてしまいました。
しかしその後サン・シル・ラポピーは木工加工と皮革加工を中心に栄え、多くの住宅も建設され、
12世紀起源の聖シル教会堂は、16世紀ゴシック様式で再建されました。
さらに17世紀になると、ロット川の航行の開発に力が注がれ、河畔にはトウパス(曳き舟道)や水路が整備され、船を使った大規模な交易と農産物の増産が促進されました。
19世紀~20世紀にはポスト印象派アンリ・マルタンや思想家アンドレ・ブルトンなど多くの芸術家や知識人が、
中世フランスの面影を残すサンシルラポピーの美しい風景とロット渓谷の自然豊かな環境に魅了され、
この村へ移り住み、村は南西フランスの文化の発信と芸術交流の中心となっていきました。
20世紀に二度の世界大戦がありましたが、サンシルラポピーはその影響を受けずにすみました。
そのため、村には伝統的な建築様式の邸宅や花の庭園やテラスを備えた石積み造りの民家などが残されています。
それらは古くは13世紀~16世紀に建てられたものです。
サンシルラポピーの観光
ツアーのバスは町の入口付近で乗降できますが、帰りは、バスの駐車場が少し上ったところにあり、
そこまで徒歩で行く場合もあります。この辺りは、道が狭いので大変です。
町の入口のバスの乗降場所にトイレ(無料)もあります。
トイレは、ここ以外にはソンブラル広場の観光案内所裏手にもあります。(有料50¢)
町の中は徒歩での自由散策となります。坂道ばかりなので注意してください。
城塞跡 The rock of La popie
岩山を登っていくと、展望台になっていて眼下には、ロット川やロット渓谷が一望できます。
聖シル教会 Saint-Cirq Lapopie church
サン・シル・ラポピーのシンボルとなっている聖シルを奉る聖シル教会(Eglise de St-Cirq)は、
フランスの「歴史的建造物」に指定されています。
村の中で中世の名残りを最も顕著に伝えている大型建造物です。
聖シル教会堂は12世紀にロマネスク様式で建てられ、その後13世紀~15世紀に改修が行われ、
今日の形容は1522年~1540年の再建時、名建築家とされるギョーム・カペル Guillaume Capelle が設計した
ゴシック様式の建物です。
教会の後ろは、展望テラスになっていて、素晴らしいロット渓谷が望めます。
冬は、遠くから見ると、この教会が雲の上に浮かんでいるように見えるそうです。
ソンブラル広場
町の中心のソンブラル広場付近には。フランスの「歴史的建造物」に指定されている古い家屋が建ち並んでいます。
リニョー美術館 (Musée Rignault)
画家で、20世紀初頭の絵画収集家として有名なエミール・ジョセフ・リニョー(Emile Joseph Rignault)も
サンシルラポピーに魅了された1人です。
美術館の名は所有者でもある彼の名前にちなんで名付けられました。
美術館の庭からロット渓谷の素晴らしい眺めが楽しめます。